産婦人科

当院の分娩方針

当院では、『経膣分娩が最も自然な分娩である。』という信念のもと、なるべく多くの妊婦さんが安全に経膣分娩できるよう、できるだけのお手伝いをさせて頂きます。

ここ10~20年の間、帝王切開率は飛躍的に増加してきました。このことに関しては、そろそろ考え直す時期に来ています。事実、近年の高すぎる帝王切開率を問題視する学術報告も散見されます。あくまで帝王切開は母児の安全性を確保するための最終手段であり、安易な帝王切開は逆に母児の予後を悪くさせます。

数年前まで、骨盤位(さかご)、前回帝王切開、双胎妊娠といったハイリスク妊娠に対しても経膣分娩を行う施設は沢山ありました。しかし、近年こういったハイリスク妊娠に対して、ほとんどの施設が帝王切開を行います。 こういったケースでどういう娩出方法を取ったら良いかということについては、未だ結論は出ていません。それはどちらの方法にも一長一短あるからです。 当院ではこういったハイリスク妊娠に対しても、御夫婦に十分な説明をした上で積極的に経膣分娩を行っています。その詳細については別項に示しますが、こういったケースでも是非一度御相談下さい。

開院以来、こうした分娩方針に沿って医療を行ってきましたが、帝王切開率は7%前後(別項参照)に抑えられ、母児共に皆さん元気に退院し、多くの方に満足して頂いているものと考えています。

また、当院では快適な出産を目標としており、硬膜外麻酔による無痛分娩を積極的に取り入れています。別項の如く、昨年は当院での出産の約49%が無痛分娩にて行われました。無痛分娩の詳細については、別項に詳しく解説させて頂きます。

無痛分娩について

一人の女性が出産を経験する回数が少なくなるにつれ、一回の出産の持つ意義はますます大きくなっています。 個性や多様性が重視される現在、出産の痛みに対する考え方も人それぞれです。にも関わらず日本で無痛分娩が普及していない理由の1つとして、民族の文化や風習あるいは宗教的なものがあります。

わが国において、一般的に分娩の痛みに耐えることが母になる資格でもあり美徳とされてきました。しかし、妊婦にとって出産に伴う痛みは、分娩が始まったというサインであること以外は何の意味もありません。激しい痛み刺激のストレスから、子宮胎盤循環を低下させ胎児切迫仮死や難産を招くことさえあります。

従って、何らかの方法で無痛分娩を行い、出産の痛みを積極的にコントロールすることは、出産のクオリティーを高めるうえでも重要だと考えています。

無痛分娩の方法は、薬物等を使わない暗示的なもの(ラマーズ法、ソフロロジーなど)を含め多種多様でありますが、こういった方法で確実に出産の痛みを除去することは不可能だと考えます。 何らかの麻酔による方法が確実であり、最近では硬膜外麻酔による無痛分娩が最も広く利用されています。

当院では、硬膜外麻酔による無痛分娩を行っております。

麻酔が効き始めると大声で悲鳴をあげていた産婦さんがぴたりと静かになり、にこにこ笑いながら立ち合いのご主人や私達スタッフと冗談を交わしながら赤ちゃんを生むことが出来ます。全身麻酔ではありませんので意識もはっきりしています。

普通分娩の後、我が子の誕生を喜ぶ元気も無くぐったりしている妊婦さんがいる一方で、無痛分娩での出産後はみなさん出産の喜びをはっきりと感じることが出来ます。 また、この方法は産道を軟らかくし、難産を安産に変える作用も合わせ持っております。 分娩中の内診の時にも全く苦痛が無いこと、赤ちゃんの通過による産道の傷(裂傷)ができにくいこと、分娩後に傷を縫う時にも全く痛みが無いことなども大きな利点です。

他の麻酔法と比べた硬膜外麻酔の利点

脊椎麻酔と比べ効果の発現は緩徐ですが、カテーテルの留置によって長時間の麻酔効果の維持が可能であり、血圧下降も比較的少なく、麻酔効果の調節性にも優れています。また、局所麻酔薬の適切な選択と濃度によって、いきむことも可能となります。 このことは、ガス麻酔や鎮痛、鎮静薬で意識がもうろうとした状態での出産と違って、自分自身で出産した満足感を得ることができます。

また、麻酔の作用により分娩時に外陰部が広がりやすく、会陰切開無しに(もしくは少しの切開で)済むことができます。

硬膜外麻酔の方法

副院長 横山裕司

まず、横向きになり、できるだけ海老のように丸くなって頂きます(膝を抱え込むような格好)。

皮膚消毒、局所麻酔をしたうえで、腰のあたりから針を刺します。そして、その針の中を通しながら、図の如く硬膜外腔というスペースにカテーテルを留置します。 後はカテーテルが抜けないように固定するだけです。

順調に終われば、約5~10分で終了します。

この後、カテーテルから持続的に硬膜外腔へ薬を注入することにより、陣痛の痛みは徐々に消えていきます。 この麻酔は体に優しい麻酔であり、血圧変動等の副作用をほとんど認めない反面、その効果が現れるのにも10~20分程時間がかかります。

硬膜外麻酔の料金

硬膜外麻酔 5万円(税込)
使用薬剤実費 数千円

当院の分娩実績

総分娩数と帝王切開数(妊娠22週以降)

当院では、初産婦の帝王切開率が低く、ほとんどの妊婦さんが経膣分娩にて元気な赤ちゃんを授かっています。経産婦の方が帝王切開率が高いのは、前回帝王切開分娩の方が多数含まれているためです。

20年 21年
人数 帝王切開 人数 帝王切開
初産婦 119人 4人(3.4%) 332人 17人(5.1%)
経産婦 102人 10人(9.8%) 277人 24人(8.7%)
合計 221人 14人(6.3%) 609人 41人(6.7%)

無痛分娩の状況

当院では、痛みのない快適な分娩 また、より安全な分娩を行うため、積極的に硬膜外麻酔による無痛分娩を取り入れております。

20年 21年
人数 無痛分娩 人数 無痛分娩
単胎 初産婦 117人 49人(41.9%) 299人 166人(55.5%)
経産婦 99人 25人(25.3%) 245人 101人(41.2%)
双胎 5人 2人(40.0%) 13人 4人(30.8%)

なお、重篤な合併症は母子共に認めておりません。

骨盤位妊娠の取扱い

当院では、骨盤位(さかご)妊娠に対しても、厳格な適応の下、積極的に経膣分娩に取り組んでいます。

20年 21年
人数 経膣分娩 人数 経膣分娩
初産婦 5人 3人(60.0%) 20人 18人(90.0%)
経産婦 3人 1人(33.3%) 9人 9人(100.0%)
合計 8人 4人(50.0%) 29人 27人(93.1%)

多胎妊娠の取扱い

当院では、多胎妊娠に対しても、積極的に経膣分娩に取り組んでいます。

20年

双胎妊娠に関しては、帝王切開率は0%でした。3胎妊娠以上は、ありませんでした。

  在胎週数 胎位
(第一子-第二子)
分娩方法
1 初産婦 33週 頭位-頭位 経膣分娩
2 初産婦 37週 頭位-骨盤位 経膣分娩
3 経産婦 36週 頭位-骨盤位 経膣分娩
4 経産婦 38週 骨盤位-頭位 経膣分娩
5 経産婦 34週 頭位-骨盤位 経膣分娩

21年

  在胎週数 胎位
(第一子-第二子)
分娩方法
1 経産婦 37週 頭位-頭位 経膣分娩
2 初産婦 36週 頭位-頭位 経膣分娩
3 初産婦 36週 頭位-頭位 経膣分娩
4 初産婦 36週 骨盤位-頭位 帝王切開
5 初産婦 37週 骨盤位-骨盤位 帝王切開
6 初産婦 37週 頭位-頭位 経膣分娩
7 経産婦 35週 頭位-骨盤位 経膣分娩
8 経産婦 36週 頭位-骨盤位 経膣分娩
9 初産婦 37週 頭位-骨盤位 経膣分娩
10 初産婦 37週 頭位-頭位 経膣分娩
11 初産婦 37週 頭位-頭位 経膣分娩
12 初産婦 37週 頭位-骨盤位 経膣分娩
13 経産婦 37週 頭位-骨盤位 経膣分娩

4胎妊娠

  在胎週数 胎位 分娩方法
1 経産婦 31週 頭位-骨盤位-頭位-骨盤位 経膣分娩